“福井の冬”といえば雪ですが、積雪が1メートルを超えるような大雪もめっきり少なくなりましたね。
国道が止まってしまうような大雪にはうんざりですが、庭にうっすらと積もる雪を眺めるだけなら、風情があってよいものです。
田舎の方へ行くと、雪の重さで木の枝が折れないよう雪吊りしている家を見かけます。
厳しい寒さに襲われる前、12月が近づく頃になると、冬を越すための準備に取りかかりますが、最近では手間をかけて雪吊りするのが面倒だからと、木を切ってしまう人の方が多いようですね。
雪が少なくなった分、雪遊びをする子どもたちの姿も昔に比べると見る機会が減りました。
雪が積もると、近くの田んぼや空き地に自然と近所の子どもたちが集まってきて、誰からともなく始まる雪合戦。かまくらの中でぎゅうぎゅうになって暖をとり、除雪したあとの小さな雪山をソリで滑走する。
そんな光景を、昔は至るところで目にしたものです。
そういえば、つららもあまり見なくなりましたね。
家の断熱性が上がったことで屋根面に熱がいかなくなり、積もった屋根雪が解けて大きなつららになるという昔の常識も、現代住宅の性能向上によってすっかり「当たり前」ではなくなってしまったようです。
一時期流行った軒のない家などは、そもそもつららのできる余白すらありません。
もしかすると、今の子どもたちはつらら自体を知らないのではないでしょうか。
そして、屋外だけではなく室内も、12月に入るか入らないかのうちに冬仕様に変わります。
ひと昔前には、勝手口に灯油缶。ストーブを出し、灯油を入れて、火をつけます。鍋を置いて大根を煮たり、アルミホイルの上で正月の餅を焼いて食べたり。
半纏を着込み、こたつで暖をとりながらアイスやみかんを食べるのが、至福の時間でした。
今の家は暖かいので、家の中で着込むこともなくなり、真冬でも暖房を効かせれば薄手のニット一枚で過ごすことができます。
こたつに入ってアイスを食べる代わりに、ソファのうえでアイスを食べ、子どもたちは無垢フローリングの上にペタンと座って、おもちゃを広げて遊ぶ。昔では考えられない、冬の光景です。
今でも、雪が積もれば子どもたちは庭へ飛び出していきます。
少ない雪で小さな雪だるまをつくり、土の混じった雪玉を投げ合う。微笑ましくもあり、ちょっと切なくもある光景です。
昔の日常は、今の非日常。
今後は、そんな非日常を感じさせる、情緒的なリノベーションが増えていくといわれています。
石油ストーブで餅を焼く代わりに薪ストーブでピザを焼き、ドリップしたコーヒーを飲みながら、ソファのうえでゆったりくつろぐ。
掃き出し窓一面に広がる雪景色。雪見障子の下からのぞく雪景色。吹き抜けの高窓から見える、舞い散る雪。雪景色にも、いろいろあるものです。
永家舎のリノベーションで、そんな情緒ある冬をお過ごしください。