家の中にいても四季の変化を敏感に感じ取れるような住環境が理想であること、永家舎ではそのような住まいづくりを行っているということを、前回の記事でお伝えしました(「
多くの人に知ってほしい、リノベーションの魅力」参照)。
リノベーションを計画するにあたって、永家舎ではプランニング前に必ず現地調査を行います。
新築時の図面の有無にかかわらず、二人一組で建物をくまなく見て回り、図面と現状に相違がないかを確認し、寸法を測って、事務所へ戻ってから現況を図面に起こします。
もちろん、他社さんでも既存住宅の改修を行う際には、現地調査はされていることと思います。
ただし、あくまでもリノベーションであり、建物を改修するための現地調査ですから、基本的には家の中と外回りしか見ていないのではないでしょうか。
しかし、私たちは建物の内外だけでなく、
「建物の中から外を見る」
「敷地の中から外を見る」
ということを、調査のなかでごく当然のこととして行っています。
ここから見える景色がいちばんきれいだから、ここに窓を持ってこよう。
2階のこの窓からの眺めがよいから、個室をこの場所に配置しよう。
このように、部屋や窓をレイアウトする際には、日当たりや風通しだけでなく「何が見えるか」もひとつの要素としています。
もちろん、「見せたいもの」だけでなく、「見せたくないもの」「見えない方がよいもの」にも配慮が必要ですよね。
隣家の庭や窓、近隣の廃屋、ゴミステーション、工場から立ち上がる煙、人通りや車通りの多い公道など。
居住性や便宜的なことを考えると、日常的に視界に入ってくることを避けたい風景というのは意外と多いものです。
「見せたいもの」
「見せたくないもの」
この2点を明確にしたうえで、できるだけ窓やカーテンを開けて過ごしたいリビングや個室を気持ちのよい場所にレイアウトし、ここに窓を配置することで、どういう風に風景が切り取られるかを想像する。
お客さまから「できるだけ大きな窓が欲しい」と要望されたからといって、言われるままにすることが正解だとは限りません。
あまり見せたくない景色であれば、窓を高めに設置するとか、そういう提案も必要になってきます。
家の外の風景というのは、お客さまにとってはすっかり見慣れた、当たり前の風景です。
だからこそ、お客さまご自身は気付いていない部分も大きいのですが、その当たり前の風景を私たちが新鮮な目で見て、どう切り取って、どう見せると心の養分になるのか。
そんなことも考えながら、より心地よい住まいを提案していきたいと思っています。