リノベーションにおいて、内装の色味は空間の印象を大きく左右する重要な要素のひとつです。
永家舎では空間に落ち着いた印象を与えるよう、内装の色味を3つまでに抑えるというコーディネートを意識していますが、同じ木質系の内装であっても、色の使い方次第でまったく異なる表情を生み出します。
たとえば、全体を同じ、または近いトーンの色味で統一したパターン。
黄褐色の生木の色で統一すれば、明るくサラッとした雰囲気に。
古民家らしい黒や濃茶、ベンガラなどの古色仕上げなら、重厚感たっぷりに。
どちらの場合も、同じ色味で統一することで空間に一体感と落ち着きをもたらします。
別のパターンとして、部分的に色を変えることもあります。
比較的多いのが、全体には明るい色を使い、古民家ならではの丸太梁など一部の構造材や造作部分だけを古色仕上げにする方法です。
このように、思い切って色のトーンを変えてみることで、空間にメリハリや変化が生まれます。
フォーカルポイントだけ、色を変えてみるというのもありでしょう。
(『何をどう見せる?リノベーションのフォーカルポイント』参照)
永家舎の展示場でも、全体的に明るめのブラウンを基調としながら、階段と和室の建具、そのまわりだけを赤みがかったブラウンに塗装しています。
インテリアコーディネーターの趣味嗜好もあるかもしれませんが、あえて色を変えることで、見せたい部分をしっかりと強調するという思惑もありそうです。
和室まわりなど、古い部分と新しい部分のつなぎ目となる部分では、意図的に古い部分の色に合わせた方が馴染みやすいというのもあるでしょう。
永家舎のリノベーションでは、単に古いものを新しくするだけではなく、その家に刻まれた時間の痕跡を丁寧に拾い上げ、新しい暮らしの中に溶け込ませていくというアプローチを大切にしています。
そして、それは色彩選びにおいても同じことがいえます。
色は、言葉にできない記憶や感情を呼び覚ます力を持っているといいます。
伝統的な色を残したり、逆に強調させたりすることで、家の記憶と、そこに暮らす人々の想いを現代につなぐという役割を果たすことができるのではないでしょうか。
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