前回もお伝えしましたが、玄関というのはいろいろな人が訪れ、いろいろな人の視線にさらされる場所です。
(『
おもてなしの心に機能性を付加し、よりよい玄関を』参照)
そのため、玄関を含めたリノベーションでは機能的な収納をつくり、できるだけ玄関をすっきり見せるよう配慮していますが、二世帯住宅の場合、それより先に考えなければならないのが「玄関をどう使うか」ということです。
ふたつの世帯が、ひとつの玄関を共有で使う。
あるいは、世帯ごとに玄関を設ける。
選択肢としては、このどちらかになります。
玄関を別に設ける場合、左右で世帯を分けたときには、1階部分に玄関をふたつ設けることになります。
上の写真は1階と2階で世帯を分けた二世帯住宅の、2階にある子世帯の玄関です。
1階と2階に玄関を設け、2階の住居へは屋外階段で出入りするパターンもあれば、1階に玄関をふたつ設けて、内部の階段で2階の住居へ上がるパターンもあります。
ただし、分離型の二世帯住宅だからといって、必ずしも玄関がふたつ必要というわけではありません。
たとえば、玄関はひとつだけで、玄関ホールから先を世帯別に分けるという方法もあります。永家舎でも、比較的よく使う手法のひとつです。
下の写真は、玄関ホールの真ん中に入れた間仕切りを境に、左側が子世帯、右側が親世帯の住居になっています。
面積的にあまり余裕がない場合には、仕切り壁の高さを抑えたり、玄関収納の扉をなくしてオープンにしたりと、圧迫感をなくす工夫が必要ですね。
次の写真も、一見すると二世帯住宅の玄関のように見えますが、そうではありません。
左側が来客用、右側を家族用の入り口として使っています。
間仕切り壁を設けずに、建物の間口の広さによって、玄関を入ったところで左右へ分かれたり、場合によっては手前と奥で分かれたり。
この手法は、二世帯住宅の玄関にも応用できそうですね。
そのほか、わざわざ玄関は分けないけれど、なんとなく子世帯が表玄関を使って、親世帯は勝手口から出入りするというご家庭もあります。
とくに田舎の方では、玄関は来客用として使い、そこに住む人たちは日常的に勝手口から出入りしているというご家庭も少なくないようです。
玄関をどう使うのか、どう分けるのか。正解は、住む人によって違います。
まずは、お客さまと、そして家と対話をして、今あるものの中から、個々のライフスタイルにあった答えを導き出していきたいですね。