既存住宅をお持ちの方は「壊して新築するか」「リノベーションするか」で、皆さんとても迷われます。
永家舎はリノベーションが専門なので、弊社へ相談に来られる方というのは、もちろん「とりあえず話を聞きたい」という方も中にはいらっしゃいますが、最初からリノベーションと決めて来られる方も少なくありません。
ただし、お客さまが新築ではなくリノベーションを選択される理由として、大きく2つの考え方があるようです。
1つは「建て替えるより安くできるだろう」と思って、リノベーションを選択される方。
「すでに構造体があるのだから、その分は安くなるだろう」というのは、たしかによく言われることではあります。
しかし、費用対効果を考えるなら、新築の方がよい場合も多々あります。
昔の家は気密性がないので、いくら断熱しても新築ほどの性能は期待できませんし、面積が大きい分、フルリノベーションで間取りも内外装も変えようと思うとかなりの費用になります。
床や壁をはがしてみた、腐朽やシロアリの喰害が見つかるなど、想定外の補修が必要になる場合もあります。
つまり、性能や金額など数字だけを見ると、リノベーションするよりもコンパクトな新築の家に建て替えた方が費用対効果がよいというのは、わりとよくあることなのです。
お客さまがリノベーションを選択される理由。もう1つは、「その家に思い入れがあるから」。
以前、あるお客様が家を建て替えることになり、古家の解体工事に立ち会ったことがありました。
うれしそうに工事を見守る、30代のお孫さん夫婦とご両親。その傍らで、おばあちゃんがひとり涙を流していました。
「息子と孫の話を聞いて、建て替えは仕方がないのだと思った」
ところが、家が壊れていく様子を目の当たりにしたときの寂しさは、想像以上だったといいますに。
思い入れのない家を、無理にリノベーションする必要はありません。
永家舎はリノベ専門ですが、建物の状態を見て新築の方がよいと思えばグループ会社の永森建設をご紹介することもあります。
しかし、思い入れのある家ならば、多少古くても活かす方法を考える。残せるものは、できるだけ残してゆく。
前回の記事でもお伝えしましたが(「多くの人に知ってほしい、リノベーションの魅力」参照)、この考え方こそがリノベーションの醍醐味ともいえるのではないでしょうか。