リノベーションは制約があるから、思いどおりの家にならないのでは?
せっかく既存の家があるのだから新築ではなくリノベーションでと思いつつも、その点を気にされるお客様は少なくありません。
しかし、建築のプロである私たちとしては、「制約があるからこそ、リノベーションは面白い」と考えています。
新築なら、確かに可能性は無限大です。
しかし、制約があるなかで最大限に暮らしを向上させるというのも、なかなか面白い作業なんですよ。
今ある建物がご自身の生まれ育った家なのか、ご親族から譲り受けた家なのか。
それによって度合いは違うでしょうけれど、古くから受け継いできた家には必ず誰かの想いが詰まっています。
古民家を建てた当時の逸話として「自分で木を選んで、ここまで運んできた」などという話を聞くことがありますが、昔の人はそれこそ手間をかけ、命をかけて家を建てたものです。
だからこそ、そこに込めた想いも人一倍。
つまり、「制約があるから面白い」というのは、ただパズルのピースを当てはめていく面白さではなく、
「この家には、どんな想いが詰まっているのか」
「どんな想いで、この家を建てたのか」
を想像しながら、プランニングする。想い出となるものを残しつつ、自分らしさを付け加えていくという面白さ。
今あるもの、想いの詰まったものをどう活かしていくか。
かたちのある中で、したい暮らしをどのように実現するか。
その答えを見つけていくのが、リノベーションでもっとも大切な作業です。
また、現代の住宅は「暑さ」「寒さ」「台風」「停電」といった気候変動や災害に備えることが、ひとつの大きなテーマになっています。
しかし、昔の家は先人の知恵によって、このような気候変動や災害にも当たり前のように対峙してきました。
そんな日本家屋のルーツを探り、原点に戻って考えることができるのも、リノベーションの魅力のひとつではないでしょうか。
リノベーションをするには、当然ながら「既存住宅がある」ことが大前提です。
新築は誰でもできますが、永家舎の手がけるリノベーションは、想いの詰まった既存住宅がなければできません。
こんな時代だからこそ、大切な想いをリノベーションでつないでいきたい。
そして、そんなリノベーションの面白さを、もっと多くの人に知ってもらえるといいなと思います。