家族が増えた。
あるいは、モノが増えてきた。
なんとなく家も手狭になってきたし、増築でもしようかな……。
昭和初期に生まれた団塊世代はきょうだいが多く、多世帯同居が当たり前とされる時代でした。
そのため、「結婚した」「子どもが生まれた」など家族が増えるたび、ライフスタイルが変わるたびに部屋数を増やしたり、物干しのためのベランダを後付けしたりと、増築を繰り返す家も少なくありませんでした。
だから、昭和の時代に建った家を見ると、あとから部屋を継ぎ足したような、どことなく不格好な家が多いのです。
しかし、本来であれば、家をリノベーションするうえで『増築』というのは最終手段でなければならないと、私たちは考えています。
そもそも福井の家は、他府県の家に比べるとかなり大きいです。部屋も広いし、部屋数も多い。
お客さま自身は「手狭だな」と思っていても、よくよく話を聞いてみれば、普段あまり使われていない部屋や、使い勝手が悪くデッドスペースになっている場所が、必ずどこかにあるものです。
だから、わざわざ増築せずとも、そういった空間をうまく活用し、ちょっと間取りに手を加えてあげれば、必要なスペースを確保できる場合がほとんどなのです。
お客さまは、どうしても“今”にフォーカスしてしまいます。
だから、「家族が増えた」「部屋が足りない」「収納が少ない」と思えば、家を広げることを考えます。
敷地に余裕があれば、「増築したい」というかもしれませんし、いわれるままに工事をする建築会社というのも少なくありません。
しかし、私たちは建築のプロとして、ただ言われたとおりに設計するのではなく、将来的なことまで見越したアドバイスをしたいと考えています。
建物の状態や住まい方も含め、プロの目線で調査し、判断する。ときには、「これが自分の家ならどうするか」という視点で物事を考えることで、最良の方法が見つかることもあります。
そして、場合によっては、その“最良の方法”が『減築』であることも。
そもそも、減築とは何なのか? 減築が必要な場合とはどんなときなのか?
次回は、そんな減築の必要性について、お話しさせていただきます。