越前町の緑豊かな山すそに、現在30代のKさまは子供時代を過ごした築110年、約100坪の古民家をリノベーションしました。古民家再生のきっかけは築110年の古民家で暮らす祖父母への想い。「代々大切に受け継いできた家に、祖父母が住んでいました。年月とともに傷みがでて、冬はすごく寒くて身体にこたえるのではと心配だったんです」と話すKさま。ご結婚後、古民家の近くにある実家の離れで暮らしていて、自分たちの家をどうするか考える中で、祖父母の住む古民家を再生して一緒に暮らすことを選択肢としてのことでした。
2015年、Kさまは永家舎へ民家再生の資料を請求します。「大きな建物なのでリノベーションには時間と費用がかかる、祖父母が暮らしている、両親はなるべくこのままの姿で残しておきたいといい、話が進みませんでした」家族を思いやるがゆえに迷いが深まる中、Kさまが永家舎の民家再生完成見学会に参加したのは資料請求から4年後でした。「祖父が亡くなり、子どもも生まれ自分たちが住んでいる離れも手狭になり、家をどうするか真剣に考え始めたんです。新築も考えたんですが実家もあるし、祖母が住む先祖代々受け継がれた民家もあるのでこれ以上家を増やしたくないと思い、民家再生を手掛ける会社を探し始めたんです。以前資料請求をして気になっていた永家舎さんのホームページは、古民家再生の事例が多く、改修後の雰囲気も一番わかりやすかったですね」。
古民家再生に抵抗のあったご両親ですが、Kさまに誘われて永家舎で古民家再生した家を見学するバスツアーに参加することに。「永家舎の手掛けた古民家を見て父もここまでできるのならと、改修に前向きになってくれました」。奥さまは「新築と違い、古いものを新しくするには高い技術が要るので、実績が豊富な永家舎さんならまかせられると思った」と話します。2020年、ご家族全員が納得したうえで、Kさまは永家舎に古民家再生を申し込みました。
「新築以上に難しい」といわれる、古民家再生。Kさまご夫婦は、永家舎と何度も打ち合わせを重ねました。その中で受けた『住まい診断』のヒアリングは、改修した古民家でこれから家族とどのように暮らしていきたいかを改めて考える機会になったといいます。3人のお子さまがいるKさまご夫婦。「なるべく昔の姿を残しつつ、子供たちとコミュニケーションをとり、自分たちの趣味の時間も充実したい」という想いを伝え設計プランを依頼。設計士から提案されたプランは、Kさまご夫婦の思いとご両親の希望をすべて叶えるものでした。
「6間続く和室の1間分と狭かったキッチン・茶の間をつなげて、家族の団らんの間となる吹き抜けのあるLDKを。2階のファミリールームや子供たちの個室は吹き抜けに面していて、どこにいても家族の気配が感じられます」とKさま。さらに、バスルームやトイレなどの水まわりはまとめて移設し使い勝手を重視。大きな玄関と和室がほぼ昔のままの姿で残ることに、ご両親も安心されたといいます。
いよいよ着工となり、床板や壁はすべてめくられ、太い大黒柱やどっしりとした天井の梁がむきだしになっていきました。1世紀以上前の材料は、今ではもう手に入らない貴重かつ良質なもの。「代々大切にしてきた昔の材料はなるべく活かしてほしい」というご両親の願いを、永家舎の棟梁は職人技で受けとめました。
なかでも大仕事となったのが、長いケヤキの縁側です。通常、床板を外すと反って容易に再利用できないのですが、棟梁は床下と床板に手間と時間をかけて細工をし、外した床板で元通りの縁側を復元。
(Before)
(After)
また、「不要となったケヤキの板材を、玄関の式台に再利用してくれたのもうれしかったです」とKさまはほほ笑みます。
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